【歯科衛生士監修】歯磨きだけではダメ!?虫歯の原因と予防法を徹底解説

アイキャッチ 歯科コラム
  • 「歯磨き粉って本当に効果あるの?」
  • 「歯磨きさえしていれば虫歯にならない?」
  • 「正しい虫歯予防の方法を知りたい!」

誰もが日常的に行っている「歯磨き」実は歯磨きだけでは虫歯予防としては不十分なんです。

しかし誰にでもできる簡単な作業をプラスすることと、普段の生活の中であることを心掛けるだけで虫歯のリスクを大幅に下げることができます!

この記事では、虫歯になる4つの要因と虫歯にならないための3つの予防習慣について解説します。「医学的な話はよくわからない…」という方のためにもわかりやすく解説しているのでご安心ください。

虫歯予防は次の3つの習慣が重要!
① 歯磨き+デンタルフロスで歯の汚れを取り除く
② 寝る前にフッ素を歯に塗る
③ 間食の頻度を抑える+水分をたくさん摂る

当ブログでは、歯科衛生士として5年以上働く妻の経験と知識をもとに、歯の健康やおすすめの歯磨き粉について情報発信をしています。

歯は一生物です。この記事の内容を理解して正しい虫歯予防の方法を身につけ、丈夫で健康な歯を手に入れましょう

なぜ歯磨きでは足りないのか?虫歯になる4つの要因を解説

虫歯の原因

まずはじめに、虫歯になる4つの要因について理解しましょう。これを知っておけば後ほど解説する虫歯の予防法も理解しやすくなります。

以下に挙げた4つの要因は、歯科業界では「ニューブランの4つの輪」と呼ばれています

  • 細菌 :虫歯の原因菌
  • 歯質 :歯の強さ、丈夫さ
  • 食事 :細菌のエサとなるもの
  • 時間 :食事の間隔

これは図でイメージしたほうがわかりやすいと思うので、次の画像をご覧ください。

ニューブランの4つの輪
ニューブランの4つの輪

図では4つの要因となる細菌、歯質、食事、時間がそれぞれ輪で表現されており、この4つの輪すべてが重なることで虫歯が発生することを表しています。

「4つも条件がそろわないと虫歯にならないのか…意外と大丈夫なのでは…?」と思った方ほど注意してください

ここで覚えていただきたいのは、人によってそれぞれリスクが異なるということです。

ヨメ
ヨメ

どういうことかを解説する前に、
まずは4つの要因についてそれぞれ理解しましょう!

細菌 :虫歯の原因菌

細菌のイメージ

1つ目は「細菌」です。これは口内に存在する虫歯菌のことを指します。

この虫歯菌が生成する酸によって歯が溶けることを虫歯といいます。

当然ですが虫歯菌の数が多い人の方が虫歯になるリスクは高いです。虫歯菌の数は幼少期の頃にある程度決まるのですが、大人になってからでも口内環境によって増殖します。

歯医者によっては唾液検査で虫歯菌の数を測定してくれるところもあるので、まずは自分にどのくらい虫歯のリスクがあるのかを知ることが大切です。

歯質 :歯の強さ、丈夫さ

2つ目は「歯質」です。これは文字通りですね。

「歯質」は主に歯の表面のエナメル質の状態を指します。

エナメル質
歯の外側を覆う白い部分がエナメル質

エナメル質はとても硬い物質で、歯の表面のエナメル質が強ければ強いほど虫歯になりにくいです。

逆にこのエナメル質が弱いと細菌の酸によってエナメル質が溶かされやすく、虫歯になるリスクが高まります。

エナメル質を強くする最も一般的な方法は、歯にフッ素を塗ることです。フッ素には歯のエナメル質を修復するはたらきがあります。

これは後ほど詳しく解説しますが、エナメル質は食事のたびに溶けては修復してを繰り返しています。この修復は「歯質」にとってとても重要な工程です。

食事 :細菌のエサとなるもの

食事風景

3つ目は「食事」です。

この食べ物の磨き残しや糖分の摂り過ぎがみなさんが一般的に想像する虫歯の原因であり、歯磨き対処しようとしている部分かと思います。

食べ物の中でも主に糖分が細菌のエサとなり、その増殖を助けます。実はその過程で生成されるのが酸なんです。

ヨミ
ヨミ

酸は食後どのくらいで生成されるの?

それをわかりやすく表したグラフとして「ステファンカーブ」というものがあります。下のグラフをご覧下さい。

ステファンカーブ

はち歯科医院|知っておきたい歯磨きのヒミツ:より引用

このグラフは人が食べ物(主に糖分)を摂取したときの、口腔内こうくうない酸性とアルカリ性の度合いを時系列で表したものです。

何も食べていないときの口腔内は基本的に中性です。しかし糖分を摂取するとすぐに酸性に傾き、食後時間をかけて徐々に中性へと戻っていきます。一般的に、ものを食べ始めてからわずか2,3分で口腔内は酸性化し、食後30分ほどかけて中性に戻っていきます。

この一連の流れで発生する現象として、脱灰だっかい」と「再石灰化」というものがあります。

「脱灰」とは、口腔内が酸性化したことによって歯の表面のエナメル質が溶ける現象のことです。「歯質」の項目で解説した通りエナメル質はとても固い物質なのですが、酸には弱いという性質をもちます。

  • 脱灰 … 歯の表面のエナメル質が溶けること

逆に「再石灰化」とは、口腔内が中性状態のときに行われる歯の修復作用のことを言います。

  • 再石灰化 … 溶けた歯を修復すること

このように歯は食事のたびに「脱灰」と「再石灰化」を繰り返しているのです。

対策として、食後の口腔内をいち早く中性に戻してあげること歯が溶けるのを最小限に抑えることができます。

たとえば唾液には口腔内を中和し再石灰化を促すはたらきがありますし、食後に口を水でゆすぐだけでも中和を促進できます。

時間 :食事の間隔

時計の写真

最後に「時間」です。これは前項の「食事」を時間という視点で捉えた要因です。

先ほど、歯は食事をとるたびに「脱灰」と「再石灰化」を繰り返すという説明をしました。

  • 脱灰 … 歯の表面のエナメル質が溶けること
  • 再石灰化 … 溶けた歯を修復すること

ここでみなさんに覚えていただきたいのは、溶けた歯を修復するのには時間がかかるということです。

  • 間食が多い
  • 甘い飲み物を日常的に飲んでいる

このような方は脱灰の時間が長くなるだけでなく、再石灰化が十分行われないため虫歯のリスクが高くなります

この「時間」の要因に関して、食べた量はさほど関係ありません。ケーキをホールで食べるのもアメ玉ひとつ舐めるのもリスクは同じです。重要なのは食べる頻度です。

また、寝る前に食事をとるのも危険です。睡眠中は唾液の分泌量が低下するので、口腔内が中和しにくいだけでなく再石灰化の力も弱まります。

この項目で重要なのは、食事の頻度や間隔を意識し歯を修復する「再石灰化」の時間を十分に確保するということです。


【ここまでのポイント!】
① 細菌 :自分がどれくらい虫歯菌をもっているかを知ることが大事
② 歯質 :歯の表面のエナメル質が弱いと虫歯になりやすい
③ 食事 :歯はものを食べた直後から溶け始める
④ 時間 :食事の頻度が多いと歯の修復が不十分に
なる

以上、4つの要因についてそれぞれ解説しました。ここでもう一度、冒頭の4つの輪について振り返ってみましょう。

ニューブランの4つの輪
ニューブランの4つの輪

画像では4つの輪は同じ大きさで表現されていますが、実際は人によって輪の大きさは一つ一つ違います

「毎食後に歯はちゃんと磨いているけど、間食が多いかも…」

たとえばこのような方は「歯質」や「食事」の輪は小さくなるかもしれませんが、間食が多いので「時間」の輪は大きくなります。

また、4つの輪はそれぞれ独立しているわけではありません

先ほどの例でいうと、間食が多いということはそれだけ再石灰化の時間が短いということですから、徐々にエナメル質が弱くなり「歯質」の輪が大きくなるでしょう。

このように歯磨きだけではカバーできない要因というのは存在します。そもそも歯磨きでは歯の汚れの60%程度しか磨けないといわれています。

次の章では、「じゃあどうすればいいの?」という方のために虫歯に有効な予防法を3つご紹介します!

虫歯にならないための3つの予防習慣

歯ブラシの画像

ここからは虫歯にならないための予防法を3つご紹介します。

誰にでも実践できる方法ですので、自分だけでなく家族や友人にも共有してあげましょう!

ご紹介する予防法は以下の3つです。

  1. 歯磨き+デンタルフロスで歯の汚れを取り除く
  2. 寝る前にフッ素を歯に塗る
  3. 間食の頻度を抑える+水分をたくさん摂る

それでは一つずつ解説していきます。

1.歯磨き+デンタルフロスで歯の汚れを取り除く

有効な虫歯予防の1つ目は「歯磨き+デンタルフロスで歯の汚れを取り除く」ことです。

この記事の前半で、歯磨きだけでは虫歯防げないというお話をしました。それは歯磨きでは歯の汚れの60%ほどしか磨けないから、というのが理由の一つです。

ヨミ
ヨミ

残りの40%はどうやって磨くの?

その答え「デンタルフロス」です!

一般的に歯を磨くといえば、歯の表面や奥歯のくぼみを意識しがちです。しかし本当に磨かなければいけないのは歯と歯の間」や「歯と歯茎の隙間」です。

歯ブラシは歯と歯茎の隙間を磨くことはできますが、歯と歯の間を磨くことはできません。歯と歯の間のことを「歯間しかん」といいますが、この歯間を掃除するための道具がデンタルフロスです。

デンタルフロスとは、歯間に通して汚れをからめとるための細い繊維の束のことです。普段の歯磨きに合わせて使用することで、歯の汚れを80%近く取り除けます

実は歯間を掃除する道具はほかにもいろいろあります。その中でもわりと万人に使えるのがデンタルフロスなので、「何を使えばいいのかわからない…」と悩んでいる方はこれを使いましょう。

デンタルフロスを初めて使う方は、糸巻きタイプのものよりも取っ手がついているタイプのほうが扱いやすいのでオススメです!

デンタルフロス
デンタルフロス(横)

「つまようじ」で歯の掃除をするのはおすすめしません。
歯や歯茎を傷つけたり、歯間が広がる恐れがある
ためなるべく使用は控えましょう。

2.寝る前にフッ素を歯に塗る

寝る前の歯磨き

有効な虫歯予防の2つ目は寝る前にフッ素を歯に塗ることです。

こちらは1つ目の予防策とほぼ同時に行えますし、すでに多くの方が実践できているのではないでしょうか?

フッ素には歯の質、つまりエナメル質を強くするはたらきがあります。より専門的な言い方をすれば、歯の「再石灰化」を促進させます。

ヨメ
ヨメ

フッ素を塗るのは「寝る前」が最適です!

人は寝ている間、唾液の分泌量が減少します。これには良い面と悪い面がそれぞれあります。

唾液の自浄作用がはたらきにくくなるため、虫歯菌が増殖しやすい

フッ素が唾液に流されにくくなるため、再石灰化の促進が長時間行われる

悪い面は虫歯菌が増殖しやすいことです。これは先ほど紹介したデンタルフロスの予防法を就寝前に実践して虫歯菌のエサとなる歯の汚れを取り除くことが一番有効です。

良い面は再石灰化が長時間促進されることです。

フッ素が再石灰化を促進するにはフッ素が口の中に残り続ける必要があるのですが、就寝中はそういう意味では好条件です。

この効果を最大限生かすためにみなさんに意識していただきたいのは、歯磨きのあと口をゆすぎ過ぎないということです。

フッ素は主に歯磨き粉を用いて歯に塗布するのですが、歯磨きの最後に口の中の歯磨き粉を洗い流すために何度も口をゆすいでいないでしょうか?これではせっかく塗ったフッ素まで洗い流されてしまいます

使っている歯磨き粉の種類にもよりますが、口をゆすぐときは少量の水で一回行うに留めましょう。

3.間食の頻度を抑える+水分をたくさん摂る

飲料水

有効な虫歯予防、最後の3つ目は「間食の頻度を抑える+水分をたくさん摂る」ことです。

極論を言ってしまえば、食事も間食も行わなければ虫歯を心配する必要はないのですが、もちろんそうはいきません。間食だってしたいですよね。

なので気をつけるべきは、食事の間隔をしっかり空けるということです。例として以下のような生活が挙げられます。

  • 09:00 朝ごはん
  • 12:00 昼ごはん
  • 15:00 おやつタイム
  • 18:00 晩ごはん

これケースであれば食事の間隔をそれぞれ3時間空けられるので、これを目安にして自分の生活に当てはめてみましょう

また、水分をたくさん摂ることも重要です。

体内の水分量が減ると、唾液の分泌量が減少します。唾液にはのような効果があります。

  • 酸性化した口腔内を中和するはたらき
  • 口腔内の虫歯菌を洗い流す自浄作用
  • 歯の再石灰を促進するはたらき
ヨミ
ヨミ

まさに口の中の番人…!!

そんな唾液が減るということは、これらのはたらきが弱まるということですから当然虫歯のリスクは高くなります

目安として2リットルペットボトルの水を一日かけて飲むことを心掛けましょう。短時間に一気に飲むのではなく、こまめな水分補給が重要です。

ただし、カフェインが含まれるコーヒーやお茶などの利尿作用がある飲み物は水分補給には適さないので注意しましょう。

【まとめ】3つの生活習慣で虫歯は予防できる!健康な歯を手に入れよう

笑顔の女性

今回は虫歯の4つの要因とその対処法について解説しました。

ご紹介した予防策は次の3つです。

  1. デンタルフロスで歯と歯の隙間を掃除する
  2. いつもの歯磨きでフッ素を歯に塗る。とくに寝る前が効果的
  3. 食事の間隔を3時間程度空ける+水を一日2リットル飲む

これらを実践すれば虫歯のリスクはかなり抑えられます

「3つも実践できない!」という方は、せめて1つ目のデンタルフロスだけでも実践しましょう。

歯と歯の隙間の汚れを放置すると、それが固まり「歯石」というものになります。これ自体が酸を生成したりすることはないのですが、虫歯菌の温床になったり、「歯周病」というまた別の病気にもつながります。

歯は骨と違い、欠けたり溶けた場所は基本元には戻りません。今回挙げた予防法はどれも簡単なものばかりですが、これを怠ったときの代償はとても大きいのです。

ヨメ
ヨメ

人が歯を失う理由のおよそ3割がこの虫歯です。歯医者では虫歯を治療することはできても、歯を元通りにすることはできません

ヨミ
ヨミ

大事な歯をなくさないためにも、日頃の予防が重要なんだね

ヨメ
ヨメ

いままで虫歯になったことがある人はとくに注意が必要です。最終的に自分の歯を守れるのは自分だけだということを覚えておきましょう!

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