今回のテーマは「歯周病」です!
歯周病は虫歯より注意すべき病気です。まずは知ることから始めましょう!
- 「名前は知ってるけど、実際どんな病気なの?」
- 「どんな人がなりやすいの?」
- 「どんな予防をすればいいのかわからない!」
厚生労働省の調査によると、成人の8割は歯周病と言われています。さらに、人が歯を抜く原因の第1位がこの「歯周病」なんです。
歯周病はまったく他人事ではありません!
この記事では、歯周病とはなんなのか、歯周病にならないためにはどうすればいいのかを解説します。
歯周病は日頃の予防と早期発見が肝心です。この記事の内容を実践すれば、歯周病のリスクをかなり抑えることができます。
記事の最後に、自分が歯周病かどうかを判断できるセルフチェックシートも設けていますのでぜひ最後までご覧ください。
- 歯周病とは、歯を支える骨が細菌によって後退してしまう病気
- 病気の進行がわかりづらく、気づいたときには歯を抜くしかないなんてことも…
- 日頃の丁寧な歯磨きと歯医者での定期健診が必須!
当ブログでは、歯科衛生士として5年以上働く妻の経験と知識をもとに、歯の健康やおすすめの歯磨き粉について情報発信をしています。
歯は一生物です。手遅れになる前に歯周病に関する正しい知識を身につけ、歯を守りましょう。
歯周病とは、歯を支える骨が細菌によって後退してしまう病
まずはじめに、歯周病とはどんな病気なのかを解説します。
この病気をひとことで言うと、「歯を支える骨がなくなっていく病気」です。歯そのものが溶ける虫歯とは違い、歯周病は歯の周りの組織に影響が出ます。
上の画像は健康的な歯の断面図です。
健康的な歯は3分の2ほどが歯茎に埋まっています。この「歯肉」と呼ばれる組織の中にある、歯を支えている骨を「歯槽骨」といいます。
この骨がなくなってしまうと歯がぐらついたり、最悪歯が抜けてしまったりするのです。
歯周病になると、どうして骨がなくなってしまうの?
ここからは歯周病の原因と症状について説明していきます。
歯周病にはおおまかに3つの段階があり、進行するごとに症状は重くなっていきます。
- ステップ1歯肉炎
この段階では歯肉が少し赤くなる程度で、ほとんど自覚症状なし
- ステップ2軽度~中等度の歯周炎
歯肉が腫れ、痛みや出血あり。この段階ですでに骨や歯ぐきが後退しはじめる
- ステップ3重度の歯周炎
骨や歯ぐきの後退が深刻化し、歯ぐきの痛みや出血、膿が出るなどの症状あり。
歯がぐらつき、最終的には自然に抜け落ちてしまう
それでは段階ごとに詳しく解説していきましょう。
ステップ1:歯肉炎
「歯肉炎」とは、細菌により歯肉の表面が炎症を起こしている状態のことです。
この炎症は、「歯垢」という細菌のかたまりが「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯ぐきのすき間に入り込んでくることで起こります。細菌がもつ毒素によって歯ぐきの内側が炎症を起こすのです。
- 歯垢 … 歯の表面に付着した細菌のかたまり。プラークとも呼ばれる
- 歯周ポケット … 歯と歯ぐきの境目にあるすき間(下の画像の矢印の部分)
健康的な歯周ポケットの深さは一般的に2~3ミリ程度です。
歯周病が進行する要因として、この歯周ポケットの深さが関係してきます。
歯周ポケットが深まれば深まるほど、細菌は奥深くまで侵入していきます
この段階での炎症は歯肉が腫れたり赤みを帯びる程度です。歯ぐきから出血を伴う場合もありますが、基本的に自覚症状はほとんどありません。
表面的な炎症のみなので、中の骨や歯の周りの組織への影響は少ないです。なのでいかにこの段階で歯周病を食い止められるかが重要になってきます。
ステップ2:軽度~中等度の歯周炎
口腔内の細菌が増加し、歯肉炎がさらに進行した状態が「歯周炎」です。
「歯肉炎」と「歯周炎」の違いは症状の重さです
さきほど歯肉炎は自覚症状がなく、骨や歯周組織への影響が少ないと説明しました。
一方、歯周炎では出血を伴うような歯肉の炎症がみられます。さらに骨や歯周組織への影響も大きくなっていき、次のような症状が現れます。
- 歯がぐらぐらする
- 歯茎が下がり、歯が伸びたようにみえる
- 口臭がキツくなる
この段階で歯周ポケットの深さは4~6ミリほどです。ここまでの深さになってしまうと歯磨きでは届かないので、歯周ポケットに歯垢がどんどん溜まっていってしまいます。
歯医者に行って適切な処置を行えばまだ大事には至らない段階です。少しでも自分に当てはまると思ったら、とりあえず歯医者に相談してみることをおすすめします。
ステップ3:重度の歯周炎
この段階になると歯周炎がさらに進行し、歯の根元が露出するほど骨や歯周組織が後退します。
こうなってしまうと食事も難しくなり、歯肉から膿が出たり、最終的には自然に歯が抜け落ちてしまいます。
この段階になってようやく歯医者に行く方が多いのですが、この段階まで歯周病に侵された歯は医者から見ても抜くしかない場合もあります。
しかしそのままでは他の歯や歯周組織に影響が出てしまうので放置は厳禁です。なるべくすみやかに歯医者で治療を受けましょう。
歯周病の3つの段階を表にまとめると次のようになります。
歯肉炎 | 軽度~中度の 歯周炎 | 重度の歯周炎 | |
---|---|---|---|
歯周ポケット の深さ | 2~3ミリ | 4~6ミリ | 6ミリ以上 |
炎症の特徴 | 少し赤みがみえる | ・歯肉の腫れ ・歯磨きで出血する | ・歯肉の腫れ ・何もしていなくても出血する |
その他の 自覚症状 | ほとんどなし | ・歯がぐらぐらする ・歯が伸びたように見える ・口臭がキツくなる | ・歯の根元が露出している ・まともにものが噛めなくなる ・歯ぐきから膿が出る |
自身で歯周病かどうかのセルフチェックをする際に役立ててください。
それではいよいよ、恐ろしい歯周病を防ぐために具体的にどうすればいいのかについて解説していきましょう。
歯周病にならないための2つの対策
ここまで歯周病とは何かというお話をしてきました。まとめると次のようになります。
- 歯周病は「歯肉炎」や「歯周炎」の総称
- 歯周病の原因は歯周ポケットに潜む細菌
- 炎症によって歯周ポケットが深まることで、細菌が奥へ入り込み歯周病が進行する
そんな歯周病もたった2つのことを実践するだけでそのリスクを大幅に減らせます。
それが次の2つです。
- 丁寧な歯磨きを行う
- 歯医者の定期健診を受ける
それぞれ詳しく解説していきます。
対策1:日頃から丁寧な歯磨きを行う
歯周病対策の1つ目は「丁寧な歯磨き」です。これは言うまでもないですね。
さきほども解説したように、歯周病の原因は細菌です。この細菌は「歯垢」となって歯周ポケットに溜まります。
なので歯磨きで意識的に磨くべきは歯周ポケットです。
歯周ポケットには磨き方があります。磨く際は次のことに気をつけましょう。
- 歯と歯ぐきのすき間に対して45度の角度で歯ブラシをあてる
- 歯ブラシは小刻みに動かす
- 力を入れ過ぎない
歯磨き粉に関しては殺菌効果のあるものがオススメです。
また、歯間ブラシの使用も推奨しています。
歯間ブラシとは、棒の先端にナイロンやゴムのブラシがついた器具のことです。歯磨きでは磨ききれない、歯と歯のすき間の汚れを掻き出すのに便利です。
これは虫歯予防にも効果があるので一石二鳥です!
対策2:歯医者の定期健診を受ける
歯周病対策の2つ目は「歯医者の定期健診に通う」です。
歯医者の定期健診では、たとえば以下のようなことを行っています
- 歯石の除去(スケーリング)
- 歯周病の検査(歯肉の健康状態の確認やレントゲン検査など)
- 歯の着色汚れの清掃
- 磨き残しチェック・歯磨きの指導
※ヨメの勤務していた歯科医院の例
歯石とは、歯垢という細菌のかたまりが石のように固まったもののことです。表面がざらざらしているので歯垢が付着しやすくなり、歯周病が進行する要因になります。
この歯石は歯磨き程度では取れません。歯医者で専用の器具を使って除去(スケーリング)する必要があります。
定期健診では歯周病の予防ができるだけではありません。定期的に通っていれば、もし歯周病になっていたとしても早期に発見・治療ができます。
歯医者は決して、みなさんが想像しているような怖いところではないです。やみくもに歯を削ったり、簡単に歯を抜いたりはしません。
定期健診は多くても3か月に1度程度です。自覚症状の少ない歯周病を見逃さないためにも歯医者に通うことは重要です。
【まとめ】歯周病予防に終わりはなし!習慣化することが大事
歯周病とは、歯周ポケットに潜む細菌によって発生する炎症の総称です。放置していると歯が次々と抜けてしまう恐れも。
そんな歯周病にならないために有効な対策は次の2つです。
- 日頃から丁寧な歯磨きを心掛ける
- 歯医者の定期健診を受ける
歯周病は糖尿病などと同じ生活習慣病です。一度完治したとしても、その後なにも対策をしなければ何度でも歯周病になります。
実は歯周病は口腔内にとどまらず、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞のリスクを高めることが知られています。
歯周病を防ぐことはお口の健康を守るだけでなく、その先の重大疾病を防ぐ意味もあるのです。
そのためにも、今回ご紹介した対策を習慣化することが重要です。大事なのは、やめず続けることです!
このブログでは、みなさんの歯磨きライフをサポートする情報を発信しています。
歯磨きに関するお悩みがありましたら、気軽にコメントやSNSで質問してくださいね!
【歯周病チェックシート】あなたは何個当てはまるでしょうか?
歯周病のセルフチェックシートを作成しました!
下の項目にいくつ当てはまるかであなたの歯周病度合いがわかります。実際にチェックボックスにチェックを入れられるので、いくつ当てはまるのか数えてみましょう。
歯ぐきが赤く腫れている箇所がある
歯茎が下がって歯が伸びたような気がする
歯磨きしているとよく歯ぐきから血が出る
口臭が気になりはじめた
指や舌で押すと少し動く歯がある
歯の表面を下で触るとザラザラする
歯ぐきから膿が出る
朝起きたときに口の中がネバネバする
歯と歯の間にものが挟まりやすくなった
いかがだったでしょうか?
結果は次の通りです。チェックが6個以上あった方はほぼ間違いなく歯周病です!一度歯医者に相談してみましょう。
- チェックが3個以上 …… 軽度~中等度の歯周病の可能性あり
- チェックが6個以上 …… 重度の歯周病の可能性あり
「歯医者になんて相談したらいいかわからない…」という方は、
さきほどのチェックシートであてはまった症状があることを伝えれば大丈夫です!
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